タガログ語で乾杯は「マブゥハイ」

華倫変先生の読切オムニバス「カリクラ」の中に「スウィートハネムーン」という作品があります。
安アパート暮らしで冴えない主人公(童貞)が、ある日怪しげな男から東南アジア人の少女との偽装結婚を持ち掛けられる、という話です。
主人公と少女は一緒に生活するうちに次第に打ち解けていって、やがて体を重ねるまでになります。
しかし情が移った丁度その頃に男との約束の期限が過ぎて、少女は何も言わずにいなくなってしまうのです。
主人公のどうしようもない無力感、切なさ、やるせなさを描いた名作です。
僕はこの作品が一種の性的トラウマとなって、「東南アジア人の少女と安アパートで同棲する」というシチュエーションにやたらと興奮するようになってしまいました。


好きなやるドラはもちろん「サンパギータ」です。
このゲームもやはり冴えない安アパート暮らしの主人公がフィリピーナの少女と同棲する事になる、というストーリーでした。
サンパギータ」の特徴は、作中で「フィリピンはいい国ヨ」「フィリピン人みんないい人ヨ」と、やたらとフィリピンが礼賛されている所でしょうか。
何しろ、マルチエンディングのこのゲームにおいて一番いいエンディングが「フィリピンに強制送還されてしまった少女を追いかけていって、フィリピンのスラムで一種に暮らす」という物なのです。
二番目にいいエンディングが「少女を救うために誤って人を殺してしまった主人公が、罪を償った後にフィリピンまで少女に会いに行く」で、三番目が「少女を守って命を落とした主人公が、幽霊となって少女を見守っていく。フィリピンで」です。
つまり「日本国内でフィリピーナの少女と幸せになる」というエンディングが存在しないのです。
何でもプロデューサーの方だかディレクターの方だかがフィリピンの現地法人に出向している時に地元の女性と結婚したそうで、そういう実感を込めてフィリピンは素晴らしい国だよ、という風に描いたのでしょう。
まあ最近だとカルデロンとかの例もありますが。


えー、それはともかく、このヒロインの少女「マリア」、キャラクターデザインが士郎正宗、声を当てているのが林原めぐみ、とやたら豪華な上にキャッチーで、僕も
「イツマデモ、私ノ事愛シテクレル…?」
の問いに「はい」と答えてグッドエンドを逃したりしたものです。
(ゲーム中にそういうトラップがあった)


さて、もう一方で僕には別の性的トラウマがあります。
「ブス萌え」とでも言えばいいのでしょうか。
客観的に見て地味、暗い、ダサい、冴えてない…まあ言ってしまえば「ブス」な子、そしてそれが災いしてイジメに遭っているような、そういう女の子に萌えてしまうのです。


このトラウマを僕に植え付けたのは、間違いなく田中ユキ先生の読切作品「白い恋人」です。
主人公の少年が、好意を抱いているクラスメイトの美少女にいい所を見せようとしていじめられっ子のブスを助けたら、そのブスに懐かれたでござる、とかまあそんな感じのストーリーです。
当然そんなもんに懐かれてもうっとうしいと邪険にする主人公ですが、色々溜まっている年頃なのでうっかりそのブスをレイプしてしまいます。
そして、その後も何度もブス子を抱きます。
ブスなので、顔が見えないようにとスーパーの白いビニール袋を被せて、クラスメイトの美少女を思い描きながら。
最悪です。
最低の男です。
遂にはブス子との関係が美少女にばれそうになると
「お前のせいだ。お前が悪い。お前なんて死んでしまえ」
とブス子を罵ります。
そして、ブス子は本当に首を吊って死んでしまうのです。
もう真っ黒です。
救いも何も無いです。
(正確には、ブス子はある意味求めている物を手に入れるのだけれど)
この作品の中で主人公が心の中でブス子に対して呟いた
「○○(ブス子の名前。失念したもののちょっと単行本が見つかりませんでした)のくせにいい匂いがしてムカつく」
という台詞が強烈に心に残っています。


さて、長々とこんな事を書いてきて僕が何を言いたいのか、という事なのですが、(察しのいい方はもうお分かりかもしれませんが)つまり僕は、田中ユキ先生が現在アフタヌーンで連載している「いもうとデイズ」にとても期待しているのです。
この「いもうとデイズ」、ホストとして自堕落な生活を送っている主人公の部屋に父親の再婚相手の娘…つまり義理の妹が転がり込んでくる、というストーリーです。
そして、父親の再婚相手とその娘はフィリピーナなのです。
今のところはフィリピーナの妹とのカルチャーギャップが描かれています。
そして、今後は父親と疎遠だった主人公が新しい母親や妹という存在を得て「家族」という物を再生していく、そんなヒューマンドラマを予感させます。


でも、僕は絶対そのうちに生臭い話になると思っています。
だって、作者が田中ユキ先生だし。
まだ10歳の妹、ディアナ。
彼女の無垢な笑顔が、純粋な心が、そして褐色の肌が、血の繋がらない成人男性と暮らすうちにどうなってしまうのか。
「その時」を想像するとぞくぞくしてきやがるぜへひい。


取り乱しました。


とにかく、当ブログでは「いもうとデイズ」と田中ユキ先生を応援しています。
性的な意味で。